それはやがて、大きな悩みとなった。
ファミコンが登場したゲーム黎明期から現在に至るまでを体験できたことは、私にとっては何ものにも代えがたい価値があると思っている。まさにゲームと一緒に成長してきた感じだ。たった数十年でここまで進化を遂げているのは、正直驚いている。特に視覚面での進化は凄まじいものだ。令和におけるゲームは「もうこれ実写ですやん」と言わんばかりのクオリティのものも多くなってきた。とはいえ、”凄いのが当たり前”となり、現行ではややインフレしてきた感も否めないので、次のゲーム業界の一手でどのように私達を驚かせてくれるのか、楽しみで仕方がない。
ただ、困っている。とても困っている。ゲームの販売方法についての話だ。 私はコンソールゲームをメインにしていることを、まず留意していただきたい。 元来のパッケージ販売に加え、現在ではメジャーになってきているダウンロード販売、ついにはゲームにも”PlayStation Now“や“Xbox Game Pass“といったサブスクリプションが導入され、更にストリーミング方式でも遊べる時代となった。本当に便利で良い時代になったとしみじみ感じているのだが──
丁度、今はパッケージ販売からダウンロード販売に主軸が移り変わっている時期とでも言うのだろうか。大手メーカーを除いて、ダウンロード版しか販売しないという選択も増えてきた(これにはインディーゲームの台頭も関わっているだろう)。ゲームハードでディスクドライブ非搭載モデルなんてのも登場している。しかし、ハッキリ言って私はゲームはパッケージ版派である。だが、今のダウンロード版が主流になりつつある状況を受け入れる為、必死に自分を説得しているところである。コレクター気質のあるゲーマーにとっては、この販売方法については深刻なテーマなのだ。
そもそもパッケージ版のメリット・デメリット、ダウンロード版のメリット・デメリットを、あくまで主観ではあるが明確にしておこう。
パッケージ版のメリット・デメリット
●メリット
- 飾ったりコレクションできる
- 中古売買が可能
- 貸し借り可能
- フィギュア等の限定の特典がある
●デメリット
- ディスクの入れ替えに手間がかかる
- 購入するのに販売店まで通わなければならない・持ち帰るまで遊べない・売り切れの可能性もある
- ディスクの破損・紛失の物理的リスクがある
- 物理的な収納場所が必要
ダウンロード版のメリット・デメリット
●メリット
- ディスクの入替が不要
- ダウンロード専売タイトルが遊べる
- 売り切れがなく、発売日に日付が変わった瞬間すぐ遊べる(販売店で購入する必要がない)
- 物理的な収納場所が要らない
- ディスクの破損・紛失の物理的リスクがない
●デメリット
- 関連付けているアカウントが消えると終わり
- パッケージ版より相場が高いことが多い
- 不要になっても売却できない
- ストアサービスが終了したらダウンロードできない
各方のメリット・デメリットはこんなところだろうか。 あくまでどちらが良いのかを考えているので「パッケージ版もダウンロード版も全部購入すれば良い」という極論はこの場では控えるが、ゲームをストレス無く遊びたいなら、ダウンロード版一択になるだろう。ただ、物として飾ったりコレクションしたりして所有感を満たすことができるのはパッケージ版だけである。
どこを重点的に考えるかによって、どちらが良いかは分かれるだろう。ゲームを遊ぶだけならダウンロード版、副次的な部分も満たしたいならパッケージ版という感じか。しかし、パッケージ版は無い、ダウンロード専売タイトルも増加していることも事実。普通に考えれば現行ではストレスフリーで専売タイトルもあるダウンロード版に軍配が上がる。
しかし、アカウントと関連付けて管理されている今のシステムは便利な反面、怖さも感じている。万が一ではあるが、アカウントが何かのトラブルによって削除されてしまったり、乗っ取られたりして取り戻すことができなければ、ダウンロード版は全て水の泡になってしまうことに対して不安を拭えないのだ。パッケージ版は仮に新しいアカウントになったとしてもそのまま遊べるが、ダウンロード版はもう一度購入しなければならない。
ただこれは逆のことも言える。例えば私が実際に経験したことなのだが、まともに震度6の地震を喰らってしまい、自宅のゲーム棚が倒れてパッケージとゲームディスクが破損してしまったことがあった。この時ばかりはダウンロード版にしておけば良かったと感じた。ダウンロード版であれば、本体とアカウントさえあればなんとかなるのだ。
あれ?今まで漠然とパッケージ版派としてきたが、改めて長所短所を考えているうちに、ダウンロード版も良いなと思えてきたぞ…?
パッケージ版をずらーっと並べて飾ったりコレクションするのが好きだが、もうそういう時代では無くなってきたのかもしれない。もちろん、ダウンロード版なんて無かった昔のゲームは必然的にそうなっていただけで、現行に関しては色々な販売方法が混在しているのでゲーマーも柔軟に対応すべきなのだろう。おそらくあと10年もすれば”パッケージ版”というのは消失しそうなので、今のうちにダウンロード版に慣れておく必要がありそうだ。
形が無くたって、好きって気持ちは消えない。