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[ゲーム紹介+簡易レビュー] Dead Space Extraction HD / ガンシューティングで楽しむ前日譚 

「クソっ、宇宙人はいたんだ」「で、俺達を殺そうとしてる」

舞台は宇宙開拓が進んだ未来。イージス星系の惑星“イージスVII”で採掘を行なっていた“USGイシムラ”と地上コロニーは、赤い光を発する不気味な謎の鉱物を発見する・・・技術者たちはその鉱物の解析を進めるも、突然その鉱物は強い発光と衝撃波を起こす。それと同時に謎の病原菌が発生、蔓延る奇病により精神異常をきたした者たちの殺戮、そして突如現れる異形のクリーチャーたち。絶望と恐怖に支配された“イージスVII”での生き残りを賭けた生存者たちの必死の脱出劇が今まさに始まろうとしていた──

前書き

本作は『Dead Space』シリーズのスピンオフ作品。時間軸としてはシリーズ本編主人公の“Isaac Clarke”がUSGイシムラへ訪れる前、つまり『Dead Space』の物語よりも前の物語が描かれており、USGイシムラがあのような惨状に至るまでの過程が知れる作品でもある。

元々この『Dead Space Extraction』Wiiで発売されており、『Dead Space』シリーズの中で唯一日本でも発売された作品でもある。ただし、案の定ながら日本で発売された本作は表現規制によって人間に関する欠損描写は無くなっており(ネクロモーフは欠損あり)、一部重要なシーンが規制によって丸々カットされ、後のストーリーが改変されてしまっているのでちょっとおかしなことになっている。とはいえ、日本語吹き替えで本作を楽しめるのはシリーズ経験者からすれば逆に新鮮で面白く感じる部分もあるかもしれない。

というわけで、そんなWiiで発売された本作をPS3向けにHDリマスターしたのが今回紹介する『Dead Space Extraction HD』である。

残念ながらPS3版は日本語版は無く海外版のみとなっているが、海外版ではオリジナル表現&ノーカットでプレイできるぞ!PS3版のみ『Dead Space 2』のCollector’s EditionとLimited Edition(初回限定版)に本作が特典として収録されているので、ついでに遊ばれた方も多いのではないでしょうか。実は私もそのクチでございます。太っ腹な特典、大いに嬉しい限りですね。勿論、特典のみではなく普通にダウンロード販売もされている。まぁわざわざ購入して・・・という方は少ないかもしれないが。

より深く『Dead Space』のことが知れる前日譚

基本的にステージの大半がUSGイシムラとなっているので『Dead Space』と共通しているステージが非常に多いのだが、同じ場所でも『Dead Space』では惨劇後を描いているのに対して、本作ではその惨劇に至るまでの様子が描かれているので、「こういうことが起きたから本編ではああなってたのか」とより理解が深まり、ストーリーをより面白く昇華させているはグッド。

ただ『Dead Space』がどんなストーリーだったのか知っている前提で遊ばないと、本作のストーリーにはさほど惹かれないと感じる。ストーリーを楽しみたいなら、あくまでスピンオフ作品であることを念頭に置き、本編を知った上でこのゲームに触れるべきである。個人的にはIsaacの恋人であるNicoleが生存時にどういうことをしていたのかなどが見られたのは非常に興味の湧くポイントだった。

暗闇から!背後から!天井から!ネクロモーフ共にズタズタにされる前にズタズタにしてやれ!

奴らはどこからでもやってきやがる・・・油断しているとこっちがズタズタにされちまう・・・殺られる前に殺るしかないぜ!本編と同じく、クソッタレに気味の悪いネクロモーフ共が本作でも多く登場する。また、本作オリジナルのネクロモーフもいるぞ。

お馴染み“ 戦略的部位切断”が本作でも継承されているので、ヘッドショットが大ダメージなんて概念はネクロモーフには通用しないぞ!闇雲に攻撃するのではなく、確実に手足を撃ち抜いて切断し、動きを鈍らせ戦力を削ぐことこそこの世界における生存への近道だ。

操作の単純化で遊びやすく!直感的に楽しめるガンシューティング!

原則として本作は一人称視点で自動的に進んでいき、現れる敵を残らず倒していくといったそんなゲームとなっている。TPSからガンシューティング(レールガンシューティング)に姿を変えた本作は、その雰囲気を壊さずに上手く保持したまま、本編とはまた違ったガンシューティングならではの直感的な要素を『Dead Space』の世界に落とし込むことに成功している。

“直感的”で最高にクールなのが武器のクイックリロードシステム。特定のタイミングでリロードすると瞬時にリロードが完了するのだが、タイミングを間違えるとリロード時間が通常よりも延長されてしまうというデメリットもある、言わば諸刃の剣のような要素である。これが緊張感を表現する一つとして割と上手く機能しており、焦っている時こそこの要素が頼りにもなり、もどかしくもあるのだ。

そしてもう一つ、PlayStation Move使用時の“捻り”の動作も面白く取り入れていると感じた。これも個人的に気に入っている。武器を構えている時にPlayStation Moveを右か左に捻るとプライマリモードからセカンダリモードに変化するという仕組みだ。なんてことないのだが、プラズマカッターを装備した状態で捻ると射出方向が垂直から水平に切り替わって私は凄くときめいたよ。

また、いくつかパズルシーンもあるのだが、敵を撃退しつつパズルを解いたりする場面もあってなかなかハラハラするようになっている(パズルは障害物に当たらないよう線を繋げていくというもの。例えるなら“イライラ棒”のようなものと思ってもらうと分かりやすいか)。

通常のコントローラーでもプレイに支障は無いが、やるならやはり、より直感的な操作ができるPlayStation Moveの使用を推奨する。手に握ったPlayStation Moveはさながら活路を開くための武器であり、度重なる危機的状況からプレイヤーを救ってくれるだろう。もはや自分で何を言っているのかも分からなくなってきたが、とにかくPlayStation Moveの方が面白いし遊びやすいということだ。

武器(工具)は10種類!この地獄で頼れるのは己と特徴的な武器たちだけだ!

お待ちかね!戦うには武器がないと始まらない!本作でも様々な工具という名の武器がネクロモーフ退治に一役買ってくれるぜ!プラズマカッターなどのお馴染みの武器から、本作オリジナルのアークウェルディングガンなど10種類の武器が用意されているぞ。

上記でも触れたが全ての武器にプライマリモードとセカンダリモードというのが存在し、異なる攻撃をすることが可能となっている。これを状況に合わせて上手く切り替えつつ戦っていくのが攻略の鍵。因みにリベットガン以外は弾数有限だからその点は注意。武器はステージの道中に落ちていて拾うと以降使用可能となる。最大で4種類の武器を所持することができ、それ以上は入れ替えとなる。また同じように道中に落ちている武器のアップグレードアイテムを拾えば武器が永続的に強化されるので見つけたら即ゲットしよう!

因みに私のお気に入りの武器は“フレイムスロワー”!ヒャッハー!ネクロモーフ共を焼き尽くしてやるぜー!汚物は消毒だー!

おう、忘れちゃいけねぇぜ。勿論、本作でも“ステイシス”が使え、対象の時間の流れを遅くして一定時間スローにすることができるぞ。本編同様、敵の足止めだけでなく高速で動くものに対しても有効だ。当然、無限には使えないので見極めて使っていくべきである。

2人で遊べば戦力も二倍!1人でPlayStation Moveを二つ持ってのダブルガンプレイも楽しいぞ!

地味に協力プレイだってできてしまう本作(オフラインのみ)。単純な二人プレイではなく、パズルなども協力プレイ向けに変化する。とはいえ、内容が内容なので家族や友人とわいわい言いながら遊ぶようなゲームではないので、あまり協力プレイで遊ぶことはないかも。

否、協力プレイをするにしても何ももう一人用意する必要はなく“右手と左手が協力してプレイする”ということだって可能なんだ。手元にPlayStation Moveが二つあれば夢のダブルガンプレイが楽しめるぞ!普通の遊び方に飽きてきたら次はコレだ!

自動で進んでいくガンシューティングの弊害

TPS形式の『Dead Space』では「絶対ここ敵出るじゃん・・・あー行きたくない・・・!」と恐怖に打ちのめされつつも、どこから敵が出現するか分からない中を自ら先に進めなければならず、“探索”することにも大きな恐怖感と緊張感を生んでいたが、本作ではこのガンシューティングというジャンルの性質上、そういった恐怖感はかなり薄れているので大して怖さは感じない。自動進行のため初回プレイ時でも「あーこの感じだとここ出てきそうだな、構えとこ」といったように予測できてしまうので、ホラーゲームが基本苦手な自分でも殆どビックリすることはなかったかな。“自由”と“束縛”ではこうも見え方が変わるのだな。

概評

『Dead Space』のようなホラーを求めていると肩透かしを食らうことになりますが、スピンオフ作品としては良い出来。異なるジャンルで体験する『Dead Space』の世界からはまた別の部分が見えてきて、よりこのシリーズに深みを持たせている。シリーズファンならやっておいて損はないだろうし、シリーズを知らない方でも普通にゲームとして楽しめることには楽しめます。余談ですが、Wii版(日本語版)もアレはアレで好きです。規制がネックだけど日本語吹き替えは良かったと思うよ!

☆おさえておきたいポイント [Good Side]☆おさえておきたいポイント [Bad Side]
・雰囲気をそのままに上手くガンシューティング化させている。
・シリーズの要である“戦略的部位切断”との相性が特に良い。
・クイックリロードシステムが戦術的で上手く機能している。
・武器が豊富、各武器プライマリ/セカンダリあって特徴的。
・PS Moveが無くてもコントローラーで問題なく遊べる。
・本編と比べると本ジャンルの弊害もあり、ホラー要素は薄め。
・ムービーがスキップできず、二周目以降は萎える要素に。
・上記とボリューム不足も相俟ってリプレイ性に欠ける。
・アイテム取りづらい。もう少し判定を広げてほしかった。
・拾得したログを後からでも読めるようにしてほしかった。
・敵が引っ掛かり進行不能になってしまうことが稀にあり。

☆備考 / 気になったところ / 書き留めておきたいところ
・前日譚として本編に繋がるストーリーなので『Dead Space』を遊んでから本作を遊ぶのがオススメ。
・大体ストーリーモードをクリアするのに掛かる時間は4~6時間程度。
・ゲーム難易度はNormal、Hard、Expert、Impossibleとあるが、NormalとImpossibleでも難しさにそれほど差は感じられない。
・『Dead Space』でもあったように、本作も各チャプターの頭文字を繋げるとストーリーに関わる言葉が浮かぶ。
・割と視点移動が速かったり、揺れたり、ぐるぐる動いたりとキツめなので3D酔いしやすい方には向かないかもしれない。
 因みにWii版の公式サイトで「全米が吐いた!」というキャッチコピーがあったが──なるほど、そういうことだったのか・・・(違)
・本作に登場する主要人物のGabe Wellerは『Dead Space 2』のDLC“Severed”の主人公として活躍する。その結末は・・・
・元がWiiだったからか全体的にデザインが本編以上にバタ臭く感じたかな。Lexineのアイシャドー濃すぎじゃない?

[PS3]『Dead Space Extraction HD』Ver.1.00 – 北米版レビュー
Gumio’s Score : 7 / 10 筆者:ぐみお ※この記事は前ブログで2014年に執筆したものです。

ぐみお

「暮らしにゲームを」をモットーに死ぬまでゆるーく楽しくゲームを遊べるような人生を送りたいなぁーなんて思っている人間です。三度の飯よりもゲーム好きで生粋の関西人のあんちゃんです。

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