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[ゲーム紹介+簡易レビュー] Bullet Storm / 撃ち合いだけが全てじゃない“フルボッコ系FPS”の魅力とは? 

芸術的なまでに激しく、銃弾の嵐Bullet Stormをブッ放せ!

舞台は今から500年後の未来。サラノ将軍の策略によって軍を追われてしまった「デッド・エコー」のメンバーたちは、復讐を果たすため将軍が乗船している戦艦「ユリシーズ」へ特攻をかけるもその圧倒的な戦力を前に敢え無く敗北してしまう。彼らの戦艦は墜落し、廃墟と化した惑星ステージアへと不時着するが、そこは彼らを歓迎しないクソッタレ共の巣窟だった──

仲間の助けを得て辛うじて生き残ることができた隊長の“グレイソン・ハント(グレイ)”とその相棒“イシ・サトー(イシ)”は、この惑星からの脱出と将軍への復讐を果たすため、クソッタレ共が蔓延る弱肉強食な世界で窒息覚悟な大冒険に身を投じる。

前書き

“フルボッコ系FPS”と命名された本作こと『Bullet Storm』は今までのFPSとは一線を画す斬新で新感覚なものとなっており、FPSの基本である撃ち合いだけでなく、そこにアグレッシブなアクションを取り入れることでユニークなプレイを成立させ、単に敵を倒すのではなく、どのようにして芸術的に、そして残虐的に敵を倒すかという点に重きを置いた作品となっている。なので、そこらのFPSと同じような“敵を撃って倒す”だけなんてナンセンスな戦い方をしていちゃこのゲームではやっていけない。

周りの環境、相手の特徴、自分の武器を見極めてハイレベルな敵の倒し方を実現させてこそ本作の真価が発揮されるのだ。これは直接ゲームシステムにもリンクしており、つまんねー戦い方をしているヤツには経験値は溜まらない仕組みになっている。つまり、有利に進めていくには必然的に常に最高の料理法を考えることになるため、割と頭を使う作りになっているのだ。このように実は結構タクティカルな内容なので、考えなしに遊びたい方には優しくないゲームであることをまず断言しておく。

開発を手掛けたのは知る人ぞ知る『Unreal』『Gears of War』シリーズを生み出してきた洋ゲー界の重鎮“Epic Games”と、未だにオールドスクールなFPSゲーマーから根強い人気を誇る『Painkiller』シリーズを樹立させた“People Can Fly”の二社だ。実績のあるこの二社の共同開発によって制作された完全オリジナルな本作には胸を躍らせた方もいるのではないだろうか?両メーカーの持ち味も所狭しと含みつつ、これまでのFPSでは見られなかった全く新しい形の面白さへ挑戦している点は、昨今の代わり映えしないFPSに食傷気味なプレイヤーでも、その心をリフレッシュして欲求を満たしてくれること請け合いだ。

「ただの撃ち合いにはもう飽きた」──そんな貴方には『Bullet Storm』がピッタリだ!

FPSというだけあって銃を使って敵を倒すのは大前提なのだが、『Bullet Storm』はその部分が大きく拡張されており、ゲームプレイに “引き寄せる” “蹴り飛ばす” といったアクションを組み込むことで根幹から他のFPSとの差別化を図っている。そして、そのアクションに面白みを持たせているのが本作の主眼となっている“敵の倒し方”に拘ったプレイスタイルであり、この要素が見事にマッチし、これまでに無かったゲームプレイを我々に体験させてくれているのは高く評価するべき点である。

では、その本作の特徴にもなっている “引き寄せる” “蹴り飛ばす” といったアクションについて少し解説していこう。

リーシュと呼ばれる電磁ムチは敵やオブジェクトといった様々なものを捕縛し、目の前まで引き寄せられる優れ物だ。引き寄せること自体には殺傷力は生じないが、コイツを上手く応用すれば様々な状況下でも有利な戦いに持ち込める。割と遠距離にも届くのでその使い勝手は勿論サイコーだ。ただし、その物体が重すぎる場合は目の前まで引き寄せられないぞ。また、目の前まで引き寄せるリーシュとは逆に重量感抜群のキックでは目の前の物体をぶっ飛ばすことが可能となっている。

因みに引き寄せたり蹴っ飛ばしたりした敵は数秒間スローモーションになるので、その隙がコンボを決められるチャンスだ!この他にも物体をまとめて空中高く放り上げるサンパーやスライディングキックといったアクションも存在するので、これらを用いることで多彩な倒し方を生み出していける。倒し方については次の項で解説するのでそっちをチェックだ。

『Bullet Storm』にはスキルショットシステムが導入されており、これが本作の肝心なシステムとなっている。要は設けられた条件通りに敵を倒すことでスキルポイントを獲得し、それを消費して武器を購入・強化したりする仕組みだ。勿論、スキルショットを一度達成したからといって次から同じ項目でスキルポイントが獲得できなくなるということはなく、何度でもスキルポイントは獲得できるようになっている。また、初回達成時に限りスキルポイントを通常の5倍獲得できるぞ!それと敵を複数巻き込んでスキルショットを決めればスキルポイントにボーナスが付加されるので積極的に狙っていくべし。

武器を購入・強化するには道中に配置されているドロップキットにアクセスしてドロップショップを利用すればOKだ。ここでは他にも弾薬やチャージショットの補充(有料)や装備する武器の選択なども行えるので何かとお世話になるだろう。武器もユニークな特性を持ち、プライマリファイアとチャージショットと呼ばれるセカンダリファイアが用意されており、状況に合わせて使い分けていく&リーシュやキックとコンボすることでそれぞれの武器の特性を活かした戦闘を楽しめるぞ。武器は全部で7種類存在し、常時携帯のPMC(アサルトライフル)の他に2種類の武器を任意で携帯することが可能だ。

プレイヤーのサディズムが発揮される“Kill With Skill”

前項を踏まえつつ、この項ではキャッチコピーにもなっている“Kill With Skill”について具体的な解説をしていこう。『Bullet Storm』では多種多様な“敵の倒し方”があり、それを総括したものが前項でも紹介した“スキルショット”である。察しの良い方はもう既に前項で紹介したリーシュやキックなどのアクションを使った倒し方が頭に浮かんでいるはずだ。そう、リーシュで目の前まで敵を引き寄せて、更に蹴っ飛ばし、そこに銃弾の嵐を浴びせる──これが本作のセオリーなのだ。

しかし、これは数ある敵の倒し方の中でもほんの一例に過ぎず基本中の基本の部類であり、本作の中では単純な倒し方である。ならばより高度にするにはどうすればいいのか?答えは簡単だ、周りの環境やオブジェクトなどを味方につければいいのだ。

例を挙げると敵を引き寄せる際にサボテンや電気などへ直接衝突させるor引き寄せた敵を蹴り飛ばしてそれに衝突させたり、敵を高いところから落としたり、天井のある場所でサンパーを発動して敵を天井へ叩きつけたりなどその手段はとにかく多い。それ以外にも武器ごとに用意されたスキルショットもあり、それら全部で131種類ものスキルショット項目が用意されている。

“Unreal Engine 3”で描かれる高精細なグラフィックは一見の価値あり

People Can Flyの創設者『Adrian Chmielarz』氏はグラフィックはあまり気にしていないと発言していたが、さすがUnreal Engineの本家であるEpic Gamesが関わっているだけにそのグラフィックは文句なしの出来栄え。本作で使われている“Unreal Engine 3”がどの程度の調整を施されているのかは分からないが、かなり凄いのは確かだろう。これといって目立った処理落ちやテクスチャマッピングの貼り遅れなども無く動作も非常に快適なものとなっている。

舞台となるのがかつて夢の街と言われていた場所だけあって、所々にその面影が感じられるデザインなのも魅力的な部分だ。遠方まで丁寧に描写されているので壮観な光景が見られるポイントも多く、ちょっとした観光気分を味わえるぞ!以上から目の肥えたグラフィック愛好家にも自信を持って勧められる。それほどまでに本作の視覚表現は優秀な部類である。

より激しく華麗に良い成績を目指せ!“エコーズモード”で更に『Bullet Storm』を極めろ!

キャンペーンで『Bullet Storm』のコンセプトを理解しスキルショットにも慣れたら、次は「エコーズ」で腕試しだ。このモードは所謂スコアアタックで如何に早くクリアできるか・上手くスキルショットを決められるかが鍵となっており、キャンペーンで使われていたマップの一部分をピックアップした十数種類のステージでハイスコアを目指していくことになる。基本的にキャンペーンで遊んだシーンと同じ内容となっているが、こちらでは余計なカットシーンなどは全て除かれている。

武器はスタート時に選択でき、道中のドロップキットでも変更可能。その際には弾薬やチャージショットなども全補充される。また、スキルショットの達成状況も毎回リセットされるため、初回達成の5倍ボーナスがこのモードでは非常に重要であり、一回のプレイで異なるスキルショットをどれだけ多く織り交ぜていけるかによってそのスコアは大きく変わってくるのだ。

キャンペーンよりも更にスキルショットの達成に焦点を当てたスコアアタック的な内容なので人を選ぶだろうが、スキルショットの達成に特化しているだけあって、そういった意味ではキャンペーンよりもテンポ良く遊べるだろう。オンラインランキングにも勿論対応している。スコアを競うのが好きならばこのモードはとても魅力的に映るはずだ。

獲物はオレだけのモノじゃない!?最大4人による協力マルチプレイ“アナーキーモード”!

『Bullet Storm』には一般的な対戦プレイは存在しないが、激アツな最大4人による協力プレイが用意されているぞ。「アナーキー」と呼ばれるこのモードはウェーブ形式で押し寄せる敵を協力して倒していくのが目的となっている。このゲームのことだからもう言わなくても大体分かっていると思うが、これもただ敵を倒しているだけではクリアできず、ウェーブ毎に設定された目標スコアに到達するため協力してスキルショットを達成してスコアを増やす必要があるのだ。性質上、意思疎通ができないとまるで連携が成立しないのでプレイヤーはVC必須といっても過言ではないだろう。

因みにパブリックマッチとプライベートマッチが存在するが、上記の通り協力を要するのでパブリックマッチではやりにくいか。とはいえ、嬉しいことにプライベートマッチでもパブリックマッチと変わらない条件で遊べる(経験値も獲得できる)ので問題はない。

協力マルチプレイということもあってシングルプレイとは異なる箇所も多く見られ、より戦略性がアップしている印象。武器はPMC以外に一種類までしか所持できず、リーシュにもリチャージタイムが設定され連続で使用できなくなっている。他にもドロップショップのアップグレード項目がシングルプレイと比べて多く、プレイヤーの強化なども行えるようになり、武器も弾薬・チャージショット増加だけでなく、連射速度やリロード速度などの細かい部分も強化できるようになっている。加えてブラッド・シンフォニーという能力が備わっており、これは敵を倒してゲージを溜めればいつでも発動することが可能で、発動中はキックやスライディングキックで敵を一撃で倒すことができ、尚且つ敵を一体倒すごとに250SPも獲得できるぞ!

「アナーキー」にはプレイヤーレベルが設けられていて、獲得した経験値(スキルポイント)によって上昇していく。レベルが上がっても能力的な変化は無いが、見た目などの種類が増えていく。プレイヤーレベルは最大で65レベル。こういった要素はレベルを上げる特典としては少々薄い気もするが、PMCのカスタムペイントは個人的には嬉しいところだ。それに全身一括ではなく個別にヘルメットやアーマーなどを選択できるので組み合わせの幅を持たせているのはグッド。

実際に「アナーキー」をフレンドと一緒に遊んだが、とにかくVCの有無で遊びやすさに天地の差を感じるので、もう一度書いておくがこのモードをしっかりクリアしたいならVCは必須。VC無しでは“チームチャレンジ”がまず達成できない。2人だけならまだしも3、4人となるとどういう風に動けばいいのかしっかり伝えないと確実にぐだぐだになってしまう。しかし、4人全員がフレンド且つVC有りで連携して遊べばたちまちこのモードは激アツな面白さを見せてくれること必至だ!

だが日本語版は規制まみれのクソッタレだ。購入するなら海外版がゲーマーにとってのジャスティス!

「どうしてこうなった・・・」オリジナルの表現を知った時、ここまで違っているのかと私は日本語版に落胆してしまった。日本語版における規制を簡単に紹介しておくと、出血無し、部位欠損無し、死体などの残虐なオブジェクトの排除などだ。確かにこういった規制は他のゲームでもよくある事例なのだが、『Bullet Storm』におけるこの規制は非常にマズいのだ。

芸術的で残虐的な“敵の倒し方”を売りにしているのに、それらのリアクションが軒並みマイルドになってしまったことにより、その売りである部分が大きく損なわれてしまっているのだ。ゲームプレイに大きく関わる部分なだけに残念でならない。そういった表現の違いに伴ってせっかくのマルチプレイも隔離サーバーとなってしまっているのだから堪ったもんじゃない。果たしてこのような規制を強いてまでCEROレーティング【D】で『Bullet Storm』を出す必要があったのだろうか・・・?というわけで本来の表現で『Bullet Storm』の“Kill With Skill”を楽しみたい方は海外版の購入を強く推奨する。

日本語版だからといって楽しめないわけではないが、規制でここまでゲームが変わってしまうのかと驚くことになるだろう。

概評

日本語版では規制のせいで少し評価が下がってしまったが、『Bullet Storm』は紛れも無い良作だ。これは断言できる。発想や着眼点が素晴らしく、それをしっかり面白く味付けして今までに無いタイプのFPSを生み出すことに成功している。リーシュやキックなどを用いたサディズム全開の(一方的な)戦いは爽快感もあってド派手で見ている分にも気持ちがいい。

それほど大きな期待を寄せていたわけでもなく、悪い言い方をすればそこまで面白くないだろうと当初は思っていたのだが、予想していた以上に新感覚の面白さ、所謂オリジナリティを秘めていたので見事に期待を裏切ってくれたゲームだった。

やり込み要素は薄いのでプレイ自体は長続きしないだろうが、その代わり非常に密度の濃い数十時間を提供してくれるだろう。

☆おさえておきたいポイント [Good Side]☆おさえておきたいポイント [Bad Side]
・他のFPSとは一線を画す斬新で新感覚なゲームスタイル。
・全てにおいてド派手で爽快感を強く感じられるデザイン。
・武器がどれも個性的で死に武器が一つも無い。
・ストーリーや演出も意外と手堅く作り込まれている。
・グラフィックには思わず「おおーっ!」と感心するレベル。
・ロケーションも豊富なので景観も楽しみつつ遊べる。
・数少ない登場人物はどれも印象強く魅力的。特にイシ。
・トリシカちゃんの汗ばんだタンクトップ姿がエロいぞ!
・日本語版は規制が激しく本来の面白さを損なっている。
・日本語版のマルチプレイは隔離サーバー。
・プリレンダムービーにブロックノイズが見られる。
・表示される字幕が小さく、見難く感じることが多い。
・引き継ぎや特典が無くキャンペーンのリピート性は薄い。
・一部で稀に進行不能・装備が消えるバグが存在する。
・オンラインパス認証有りなので中古購入は要注意。

☆備考 / 気になったところ / 書き留めておきたいところ
・続編に続きそうなエンディングだったので『Bullet Storm 2』に期待。
・脚本を書き下ろしたのはマーベル・コミックの“パニッシャー”などで知られる『Rick Remender』氏。
・英語音声日本語字幕、翻訳センスはなかなかで汚い言葉の訳し方が上手い。日本語として特に可笑しなところは無い。
・キャンペーンは難易度によって敵の攻撃力などが変わるだけでなく、ドロップショップの必要スキルポイントも上下する。
・クリティカルイベントというQTEがあるが、どれだけ素早く反応できたかによってスキルポイントが獲得できるだけで、たとえ失敗したからといって即死やダメージを喰らうわけでもないので比較的ゲームテンポも乱れない手法だった。

[PS3]『Bullet Storm』Ver.1.03 – 日本版レビュー
Gumio’s Score : 7 / 10 筆者:ぐみお ※この記事は前ブログで2013年に執筆したものです。

ぐみお

「暮らしにゲームを」をモットーに死ぬまでゆるーく楽しくゲームを遊べるような人生を送りたいなぁーなんて思っている人間です。三度の飯よりもゲーム好きで生粋の関西人のあんちゃんです。

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