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[レビュー] F.E.A.R.3 / 敵同士だった二人の男はアルマに導かれるまま“兄弟”として再び顔を合わせる──

ついに始まった“アルマの中に宿る新たな生命の胎動”はそれぞれの運命を狂わせていく。ホラーFPSの金字塔『F.E.A.R.』シリーズ最新作、其処にある恐怖に私達は一体何を目撃するのか…

F.E.A.R.3 (Japanese) – 製品情報

・プラットフォーム / PS3,Xbox360,PC (本項では全てPS3版に準じて記述する)
・ゲームジャンル / First Person Shooter(Horror)
・発売日 / 2011年07月21日
・参考価格 / 7,980円
・対象年齢 / CERO:Z[18歳以上のみ対象]
・プレイ人数 / 1~2(オンライン:2~4)人
・開発 / Day 1 Studios 販売 / ワーナー エンターテイメント ジャパン
■F.3.A.R. – オフィシャルサイト


■前書き

革新的な組み合わせを実現させて多くのFPSユーザーを唸らせた『F.E.A.R.』シリーズ。一口に海外のホラーと言えば大抵はスプラッター成分多めで全体的にグロテスクな内容が多い中、『F.E.A.R.』はそれまでに類を見ない“FPS+ジャパニーズホラー”という独特でオカルトな雰囲気を持っている作品で、一人称視点ならではの手法を上手く利用した恐怖演出を内在させることによってプレイヤーを恐怖へと陥れる。

3作目の続編となる本作では開発元がこれまでの“Monolith Productions”から“Day 1 Studios”に変更となり、脚本にはホラー作家のスティーヴ・ナイルズ氏、ホラー映画・SF映画監督のジョン・カーペンター氏を迎え、そこから生じる過去作との違いなどに関する不安も多少なり抱えての発売となったが果たしてその実態は如何に。

ゲーム・システム

今作では『F.E.A.R.』の主人公だったポイントマンとその事件の黒幕だったフェッテルが主人公という妙な設定。フェッテルはポイントマンに殺されたはずだったが、何故か超能力で霊体となって蘇っている(アルマと同じ力?)。かつては敵同士だった二人が今作ではアルマの息子という共通点を持って母をめぐってお互い協力していくことになります。もっとも、この二人の行いが協力と呼ぶのかどうかは怪しいところですが…これまで散りばめてきた伏線も回収されているのでストーリー的には『F.E.A.R.3』が完結編になるのかもしれない。

■解説・評論など

・インストール無し、全体的にロード時間は気にならない程度。

・マルチランゲージ仕様により海外版の『F.E.A.R.3』でも日本語版同然に遊ぶことが可能。ゲームオプション内では変更できないが、PS3の言語設定を変更するとゲームの言語も変化する。しかし、英語音声+日本語字幕という設定にすることはできない。

・セーブ方式は全てチェックポイント通過によるオートセーブのみ、チェックポイントは多め。

・難易度は全部で4種類、最高難易度のクレージーモードは一度キャンペーンをクリアすると選択可能。

・プレイアブルキャラクターが二人という設定もあり、シリーズ初となるCo-opモードを搭載している。

・画面分割プレイにも対応しておりオンラインと同じようにキャンペーンモードやマルチプレイを楽しめる。

・キャンペーンモードクリアに掛かる時間は4~5時間程度、マルチエンディング有り(キャラクター別)。キャンペーンモードではポイントマンとフェッテル、二人の主人公のどちらかを選択して遊べるが、先にポイントマンでキャンペーンモードをクリアしていかないとフェッテルは選択できない。ポイントマンは『F.E.A.R.』シリーズの定番となっているスロー・モーを使った戦い方、フェッテルは自身の霊体と超能力を活かしたユニークな戦い方を主としている。それぞれの能力に違いがあるので一周目はポイントマン、二周目はフェッテルで全然違う遊び方を展開していけるのはグッド。

・これまではヘルスを所持して好きな時に回復する手動回復制だったが今作では自動回復制となった。

・一度に所持できる武器も四種類から二種類に変更。

・リーン動作は廃止され、新たにカバーアクションが採用されている。これにより戦闘面において更に便利に遊びやすくなってアクション性の高いものとなった。

・AIの性能は『F.E.A.R.2』以上、『F.E.A.R.』以下といった具合。敵はこちらの行動や状況に応じて動いて遮蔽物などのエリア構成を上手く利用し、一人一人が行動を起こすのでその点ではそこら辺のFPSとは一線を画している。というよりもこれはAIの性能差ではなくそれを上手く活かせるレベルデザインの違いといった方が明確かもしれない。

・今作から新たにランクアップシステムを採用したおかげでレベルの概念が生まれた。例えばキャンペーンモードでは規定のチャレンジをクリアすることによりスコアを獲得し、そのスコアが一定以上溜まるとランクアップとなり、弾薬増加や体力増加などの様々な特典が得られる。特典は持ち越しとなっているのでやり込めばやり込むほど強くなっていく。この要素を取り入れたことにより意欲的にキャンペーンモードを遊べるようになりプレイ自体の幅も広がった。

ゲーム自体の純粋な楽しさとしては上質な状態で纏まっている。ランクやスコアのおかげでリプレイ性が高く、今までよりもゲームらしさ追求している構成となった『F.E.A.R.3』。ワールドランキングも設けられているので世界の猛者たちとスコアを競うことも可能となっている。

マルチプレイ

・オンラインは前作のような日本隔離サーバーではなくワールドワイドとなっている。

・『F.E.A.R.3』での新しい試みとして前面に押し出されているのがCo-opモードである。「恐怖に1人で立ち向かうなかれ」をキャッチコピーとしている通り、今作では協力プレイが推奨されている。まさにその通りで協力プレイで遊べば一人で遊ぶよりも楽しさは増大します。二人だからこそ可能な連携なども用意されていて面白いので、『F.E.A.R.3』を本当に楽しく遊ぶなら絶対にCo-opは欠かせないといっても過言ではないだろう。

・その他にもオンラインでは最大4人で遊べるマルチプレイも用意されていて、『胎動』『ソウルキング』『ソウルサバイバー』『ファッキンラン』というルールが存在する(一部DLC)。

☓不評点・改善点

・『F.E.A.R.3』から始める方に対して全くの配慮がみられない。というか『F.E.A.R.』のストーリー自体が複雑なようでいい加減なので、これまでの流れを詳細に把握していないとストーリー面を満足に楽しむことはできない。

・スコア/ランクアップシステムの採用はゲーム的には非常に効果的なものでしたが、そのせいでアーケード・シューターの色合いが強くなり、ただでさえ薄いホラー要素を更にかき消してしまっている。

・特典の関係で最高ランクが21ランクと中途半端な数字ですが、スコアは蓄積されるのだから50ランクぐらいまで設けてエンブレムだけでも変化していくような感じにしてほしかった。そうすれば気分的にも楽しいですし、もう少しやり込みも加速したかと思います。

・最も残念なのが不完全な日本語ローカライズ、これで『F.E.A.R.3』の全てを台無しにしてしまっているようなもんです。当たり前のように誤訳は存在し、日本語吹き替えも素人同然なので酷い(サウンドの項参照)。少なくとも『F.E.A.R.3』の日本語版は「パッケージや説明書も日本語じゃないとイヤ!」という方以外に買う価値はない。内容の違いは規制の有無だけなので酷く言ってしまえば日本語版は劣化版という位置づけでしかない。マルチランゲージ仕様というのは英語アレルギーのゲーマーにとって非常にありがたいのだが、ローカライズ自体の質を向上させないことには結局のところ意味はない。

☓不評点・改善点 – マルチプレイ

・Co-opはゲームとしては効果的な要素として成立しているが、同時にホラー要素を後退させる原因にもなっている。

・全体的にマッチメイキングに少々難を感じる。(精度が悪い)

・普通の形式のデスマッチなどは廃止されているので対戦ツールとしては使えない。

以下はゲーム自体とは直接関係無いが、『F.E.A.R.3』の一部コンテンツを遊ぶためにはパッケージに同梱されたパスコードを入力する必要がある(恐らく中古対策)。一般的にこういったものはそのまま直接PSNに入力できるパスコードを同梱させるはずなのだが、これはクラブワーナー(ワーナー・ブラザーズの会員サイト)に会員登録しなければならない仕組みになっており、わざわざそうしたことを介さなければコンテンツを遊べないのでさすがに呆れてしまった。

グラフィック・ヴィジュアル

画質については2011年のFPSのグラフィック水準から考えると本作はチープな創りで中の下。殆ど明るみの少ない屋内でのシーンが連続するため綺麗と感じることが少ない。他にもモーションブラーを多用しているので滲んでいるように認識してしまい、特徴的なフィルムグレイン処理によるザラザラ感もあるため、全体的にスッキリしたグラフィックとは言い難い。

ごちゃごちゃしていた前作のHUDに比べて今作ではHUDがスマートになっているので視覚的な面では改善されている。

ヴィジュアルの面では宗教的な怖さを感じる場面も多くなり、その雰囲気は異質さを十分に醸し出しているが、なんだか『F.E.A.R.』シリーズから大きくズレている怖さのような気もするのが残念。

そしてカットシーンで登場する幼女アルマが超可愛くなっているのでアルマに対しては怖さの欠片も感じなくなってしまった。

もはやこの手のゲームでは恒例となっているが日本語版では規制が施されており、前作同様かなり厳しめの規制となっている。人間相手なため部位欠損は勿論NGとして敵を攻撃した際の出血の削除や残虐的な死体オブジェクトの排除、倒した敵の死体の即時消失(黒い霧となって消える)などかなりマイルドに調整されている。※海外版ではオプションからこういった過激表現のon/offを切り替えることが可能。

サウンド

恐怖演出におけるSEの使い方はさすが『F.E.A.R.』といったところで、沈黙の中でのじわじわと怖くなっていく緊張感はこれまでほどではないが実感できる。BGMに関してはオカルトを匂わせる雰囲気を持ち不気味な世界観とマッチしている(特にインターバル04)。

とはいっても基本的には環境音のみで雰囲気は作られているため、全体的に見るとBGMの恩恵は薄いか。銃器の発砲音はずっしりとした射撃感覚を味わえ、感触が非常に良くなっている。

音声は日本語吹き替え(ただし、インターバル開始時の回想シーンのみ英語)となっているが、『F.E.A.R.3』はマルチランゲージ仕様なため英語音声なども収録されている(海外版にも日本語音声が収録されている)。ただゲーム内のオプションでは変更することは出来ず、PS3のシステム設定から言語を変更する必要がある。

この日本語吹き替えが近年稀に見るほど残念な出来となっていて、雰囲気をぶち壊してしまっている。ストーリーに関わる部分は当たり障りもない感じで大丈夫なんですが、敵の台詞が棒読み且つ不自然であまりにも酷い。その衝撃的なローカライズのせいでそこからは数々の珍妙な迷言も生まれている始末。ある意味、この日本語吹き替えが『F.E.A.R.3』で一番のホラーと感じるかもしれない。

余談ですが日本語吹き替えを担当している声優の名前は非公開となっているため誰か担当しているのかは不明。フェッテル以外の声優はお世辞にも演技が上手いとは言い難く素人同然なレベルなため、日本語版で遊んでいると台詞を聞いているこっちまで恥ずかしくなってしまいます。なぜこういったことになってしまったのか?それは日本語ローカライズも海外で行ったことが原因だろう。…私達は『F.E.A.R.』にコメディを求めているわけではない。

トロフィー

前作が非常に時間の掛かる条件だったのに対して今作ではかなり緩和されている。プラチナトロフィー取得に掛かる時間の目安としておよそ15~25時間程度で、累計条件などの性質上、必然的に何度も繰り返してキャンペーンモードを行う必要がありますが、その殆どがハイスコア系の条件を達成しようとする際に取得していけるはず。

条件の中には最高難易度である「クレージー」でキャンペーンモードをクリアなども含まれているが、特殊能力を使えることとランクアップによる特典のおかげで他のFPSと比べると難易度は低めとなっている。

条件の半分がマルチプレイ関連であるがそちらは全て画面分割プレイでも取得することが可能。因みに唯一『ビッグブラザーのヘルパー』のみは条件上オンラインでなければ取得できない。

条件自体は容易なモノばかりですが稀にトロフィーバグが発生する場合があるので要注意。
バグに関しては明確な回避方法が無いためどうすることもできないが、二度と取得が不可能になるわけではない。

■概評

良く言えばゲームらしさを求めて遊びやすく進化したドンパチFPS。悪く言えば中途半端なホラー要素が完全に余計なものと化している本末転倒なFPS。開発元が“Monolith Productions”から“Day 1 Studios”に変わったことも影響しているのか、これまでの『F.E.A.R.』の長所が引き継がれておらず、かつての面影は失われつつある。

『F.E.A.R.』の一貫したコンセプトである“恐怖”は今作でも僅かながら含んでいるが、恐怖とは消耗品であり、その演出をこれまでに何度も重ねてきているため自然とその効果を失ってしまうのも事実。やはりシリーズに触れてきたユーザーからすればこの点はマンネリを感じられずにはいられない。

その反面、FPSとしてボリュームアップしていてより遊びやすく洗練されているのでプレイ自体は十分に面白いが、伝統的なホラー要素は薄味に抑えられてしまっているのは大きなマイナスポイントになっている。

もしこれが新規IPタイトルのゲームならばホラーFPSとして個人的には及第点であるが、『F.E.A.R.』の名を冠するのであればどうしても過去作のインパクトが強く、その恐怖体験には物足りなさを感じてしまう。しかし、大きな実績も無いまま『F.E.A.R.』の最新作の開発を担い、このレベルの出来にまで仕上げられたDay 1 Studiosには個人的に拍手を送りたいところだ。あとはローカライズさえキッチリできていればもう少し評価は上がっていたかもしれない。

[PS3]『F.E.A.R.3』 – 日本版レビュー
Gumio’s Score : 7 / 10 筆者:ぐみお ※この記事は前サイトで2011年に執筆したものです。

ぐみお

「暮らしにゲームを」をモットーに死ぬまでゆるーく楽しくゲームを遊べるような人生を送りたいなぁーなんて思っている人間です。三度の飯よりもゲーム好きで生粋の関西人のあんちゃんです。

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