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[レビュー]Crysis-クライシス- / 2007年に革命を起こしたFPSが最新エンジン“CryENGINE 3”を採用してついに甦る!

時は2020年──北朝鮮軍に占拠された「リンシャン島」で行方不明になった米国の考古学調査チームを救出すべく、プレイヤーは最新鋭の特殊スーツ“ナノスーツ”を着込んだ特殊部隊の隊員ノーマッドとなり、プロフェット隊長の指揮の下、他の隊員達と共にリンシャン島に潜入するがそこでは北朝鮮軍以外にも未知の敵が影を潜めていた…

Crysis (Japanese) – 製品情報

・プラットフォーム / PS3,Xbox360 ※ダウンロード専用タイトル (本項では全てPS3版に準じて記述する)
・ゲームジャンル / First Person Shooter(Military_Sci-fi)
・発売日 / 2011年10月18日
・参考価格 / 1,900円
・対象年齢 / CERO:D[17歳以上対象]
・プレイ人数 / 1人
・開発 / Crytek 販売 / エレクトロニック アーツ(EA)
■Crysis – オフィシャルサイト(PC版)


■前書き

前作『Far Cry』の流れを汲み、最新のフィーチャーを数多く備え常に時代の一歩先を目指す“Crytek”が手掛ける『Crysis』。PC用ゲームソフトとして2007年に発売されると当時では最高峰のグラフィックと謳われた本作は、その高度な映像表現でゲーム業界に衝撃を与えたと共に、ゲーム自体の映像品位を一気に引き上げた作品としても有名。ただ、素晴らしい作品ではあったが真価を発揮する最高画質でプレイするには非常に高いスペックが要求され、当時は『Crysis』を最高画質で満足に動かすPCを組むだけで30万円以上も投資しなければならず、とても一般のPCユーザーが気軽にプレイできるような代物ではなかったため遊べず悔しい思いをした方も多かっただろう。

でも「凄い人気だし、もしかしたらこれコンソールに移植されるんじゃない?」と考えた方も居たと思う(私もその一人)が、開発側は「PC版の評価と結果が良ければコンソール向けに調整して移植もありうる」といった考えでいて、もしかすると移植するかもしれないが必ずしも発売されるとは断言されてはいなかった。それ以降もコンソールへの移植の噂が度々されていたが、開発側からの移植に関する明言はなかった。

その後、次世代エンジンの“CryENGINE 3”を採用した続編の『Crysis 2』がマルチプラットフォームで発売され、コンソールも視野に含めたビジネスモデルを展開するようになり、いよいよ『Crysis』コンソール移植の話も可能性を帯びる。そして『Crysis』が発売されて4年が経過した今──ついにPS3/xbox360で新生『Crysis』が登場したのだ!惜しくもパッケージ販売という形ではなくダウンロード専用タイトルとなってしまったが、1,900円という低価格で『Crysis』が“コンソールで遊べる”なら文句は何もない。

ゲーム・システム

まず最初に知っておいてほしいのはコンソール版はPC版『Crysis』がそのまま移植されているというわけではない。コンソール向けに調整されて移植されているのでPC版と比べると一部異なっている点があることに注意。PC版とコンソール版の主な違いは以下に羅列する

・“CryENGINE3”を採用しリメイクされたグラフィック+3D立体視に対応。なんといっても最大の違いはこの点にあり最大の魅力でもある。おまけに3D立体視に対応。PC版では“CryENGINE 2”を採用していたがコンソール版では『Crysis 2』と同じ“CryENGINE 3”が採用されており、映像表現においては『Crysis 2』に近いクオリティに達していて光源効果などの改善が施されている。当然ながらPC版の最高画質とまではいかないがコンソール版として考えるならば上出来な仕上がり。

・トロフィー(プラチナトロフィー有り)/実績に対応。やり込み要素であるトロフィー/実績に対応しており、これがあるから遊んでみようと思う方も多いはず。お手頃価格でありながら通常のパッケージタイトルと同様の量の条件が設定されているのも嬉しいところ。

・コンソール向けに最適化されたゲームバランス/レスポンス。難易度デザインの調整など細部に亘っても抜かりなく最適化され、PC版と比べると難易度はやや緩めになっている。レスポンスの面ではインターフェースや操作体系がコントローラー向けに調整されより直接的な操作が可能になり、ナノスーツの各種能力の起動などがスムーズに行えるようになっている。

・PC版で存在したチャプター10:Ascensionが削除されている。ネガティブポイントその1。PC版では存在したチャプター10:Ascension(リンシャン島からVTOLで脱出するステージ)が削除されており、ヴァルチャー1-4のパイロットが死亡して主人公が操縦軸を握るシチュエーションが無くなっている。このチャプターではPC版において色々と動作のトラブルがあったためコンソール版では消された(?)のかもしれない。そのためコンソール版では全10チャプターでキャンペーンが構成されている。

・PC版で存在したマルチプレイモードは削除されている。ネガティブポイントその2。PC版ではマルチプレイモード(オンライン対戦)が楽しめるがコンソール版ではそれらは全て削除されており、完全シングルプレイ専用の内容となっていてモードとしては“キャンペーンのみ”とボリュームの面ではPC版よりも劣る。

価格が安価なのはこういったマルチプレイコンテンツの削除なども理由の一つなのかもしれないが、キャンペーンモードだけでも十分楽しめる内容となっているのでその点は問題ない。

■解説・評論など

・配信タイトルなので原則としてインストール有り。ゲームサイズは2.8GB程度。

・ロード時間はチャプター開始毎に長めのロードが入るがプレイシーン中にロードは無いので快適。

・ランゲージは日本語のみで音声も日本語吹き替えのみ。日本語字幕表示のon/off選択可能。

・セーブはチェックポイント通過によるオートセーブのみで行われる。チェックポイントは多めに設けられているが変にルートを進むとチェックポイントが遠くなることがあるので注意。

・ヘルス&ナノゲージは自動回復制で右下には数値化されたメーターがHUDに常時表示されている。

・キャンペーンモードクリアに掛かる時間は各々のプレイスタイルによって大きく変化するが、普通に遊んだ場合(副目標を達成しつつ他は寄り道せずに進行)の長さは7~8時間程度が目安となっている。一度クリアしたチャプターはチャプター単位でのリプレイが可能。

・難易度はEASY,NORMAL,HARD,DELTAモードの4種類から選択でき、ゲーム中でも随時変更可能。PC版と難易度のデザインが異なっていて難易度を上げるごとに敵から受ける1回の攻撃のダメージ量は上昇していき、ヘルス&エネルギーのリチャージ速度は変化しない仕様にコンソール版は変更されている。因みにEASYorNORMALモードまではアシストがあるが、HARDorDELTAモードからはプレイに制限が課せられる。HARDモードでは双眼鏡のアシスト機能が無くなって近くの敵を自動的に捉えなくなり、ビークル(車両)を運転しながら備え付けの機銃を撃つことができなくなりビークルを止めて銃座に座らないと撃てず、レーダーマップに攻撃態勢になっている敵が自動的には表示されなくなる。DELTAモードでは上記に加えて、更に照準の表示がオフになり手榴弾の警告表示と警告音も消える。他にも難易度によって敵AIの動きにも変化が生じ、難しいほど敵の反応が過敏になり視認距離も広くなって命中率も上昇している。

・本作は原則としては敵に見つからないように隠れながら戦う“ステルスプレイ”が推奨されており、レーダーマップに敵の警戒状況が確認できるアラートゲージが常に表示されていて、敵に発見される危険度が色やマークの大きさで表示されており敵がどれだけ警戒しているか把握できる。警戒度が高まると敵は些細な兆候でも見逃さないようになるため通常の状態よりも見つかりやすくなるので注意が必要。

・ほぼ全種類の武器がカスタマイズ可能で一度入手したアタッチメントは以降好きなように取り付けることができ、状況に応じてダットサイトやスナイパースコープ、サイレンサーやフラッシュライトを装着したり、武器そのものにある程度の拡張性を持たせているのは楽しい上により戦略的に遊ぶことができる。

ナノスーツについて

本作を特徴付ける要素として米軍によって開発された次世代防御装甲“ナノスーツ”による超人的な特殊能力が存在しており、エネルギーを消費して移動能力(スピード)、筋力(ストレングス)、防御機能(アーマー)、光学迷彩能力(クローク)の4種類の能力を使い、様々な場面でこれらを上手く駆使して切り抜けていくことがこのゲームの面白さに繋がっている。

スピードはスプリントの移動速度を上昇させ圧倒的な速さで走ることが可能になり泳ぐ速度も上がる。

ストレングスは筋力出力を瞬間的に最大にさせ普通の人間には到底出せない馬鹿力を発揮し、普通では持てないような重量物を持ち上げて遠くへ投げ飛ばしたり、敵兵を掴んで弾丸の如く投げ飛ばすこともできる。

他にもマキシマムジャンプ(大ジャンプ)やマキシマムパンチ(格闘攻撃)なども繰り出せる。アーマーは防御と治療機能の出力を上げ、人体への直接ダメージを回避する。

クロークは周りの景色に透化して恰も消えているように見えるといういわゆる光学迷彩というやつで、敵に接近したりしない限りはこちらの存在は認識されなくなるのでこれを使えば簡単に隠密行動が行える。クロークを発動したまま動くことも可能だがあまり速く動きすぎるとそれだけエネルギーの消費も早くなり、射撃や打撃などのアクションを起こすとクローク自体が解除されるので注意。因みにこれらの能力は同時に発動することは不可能となっている。

☓不評点・改善点

・オマケ要素や収集物などが無くリプレイ性に欠けているため一周すればそれで終わりとなるボリューム。

・ストーリー自体が説明不足で不明な点が多く残るばかりの歯切れの悪い内容で、隊長の不可解な行動やナノスーツが一体どういうものなのかといった気になる部分が語られず、結局何も解決しないままエンディングを迎えていてストーリー的には未完結に終わってしまっている。

・本作のキャンペーンは前半部分と後半部分でゲーム性が二分化されており、前半は北朝鮮軍を相手にリンシャン島の広いマップを有効に使った自由度の高い戦闘が楽しめるが、後半からは敵が全てエイリアンに変わって自由度の低い窮屈なスクリプト進行の一本道になってしまい、ステルスの意味が殆ど消え失せており本作の面白い部分を否定してしまっている。

・特殊能力のクロークが難易度を破壊するほどアンバランスに強い万能な能力になっていてある種のチートの様。敵がクロークに対する対策を持っていないのもそれに更に拍車を掛けている。

グラフィック・ヴィジュアル

前述している通り採用しているエンジンが“CryENGINE 2”から“CryENGINE 3”に進化しており、光源効果やパーティクルなどの面ではPC版『Crysis』よりも改善されている。移植にあたってグラフィックの低下が懸念されていたがコンソール版として見れば十分に水準は満たしている。低解像度で調整されているせいか少しばかりテクスチャの粗が目立つが普通に遊んでいれば気にならない程度。

広大なエリアに無数のオブジェクトが配置されており、生き物(鳥,鶏,亀,蟹など)もオブジェクトとして存在する。ロケーションは8割方リンシャン島のジャングルやビーチなどの景色が連続していて多様性に欠ける。天候はスクリプト進行によって特定の場所まで進んでいくとそれに伴い変化する仕組み。

残虐表現は殆ど無く、デフォルトでは出血表現がオフになっていてかなりマイルドな仕様になっている(海外版も同仕様)。

サウンド

日本語吹き替えのみで英語音声は収録されていない。吹き替え声優は洋画や海外ドラマなどでよく見る名前ばかりでクオリティは高め。ナノスーツのシステムボイスは男性/女性/オフに変更可能。残念ながらPC版で存在した例の隠しボイスは入っていない。

余談だが主人公(=プレイヤー)であるノーマッドも喋るので一方的な会話にならず自然に応答しているため違和感を感じさせず、尚且つノーマッド自身の感情も分かるので淡々とした雰囲気にならず状況が把握しやすいのもグッド。

“音”はどれも水準以上でリンシャン島の環境音やシーンを盛り上がるBGM、そして銃声やその残響など全て文句無し。

トロフィー

プラチナトロフィー取得に掛かる時間はおよそ15時間~20時間程度(一周のみで目指す場合は12~15時間程度)。本作にはPC版で存在したマルチプレイが備わっていないためオンライン関連のトロフィーが無いので、シングルプレイだけで全てのトロフィーを取得でき且つ難易度も緩く時間も掛からないので簡単な部類に入る。

初周から最高難易度のDELTAモードで副次目標を全て達成しながらキャンペーンモードをクリアすればプレイは一周のみで済む。クロークのおかげで難易度が成立していないようなものなので最高難易度でも難しいと感じる場面は殆ど感じられない。大半の条件は普通に遊んでキャンペーンモードをクリアするまでには達成できているはず。難易度が関わるのはクリア条件系のみなのでそれ以外のトロフィーは基本的にEASYモードでも取得可能です。

バグとして稀にニューゲーム開始時に選択した難易度のクリアフラグが記録されないことがあるので、チャプター選択画面で選択した難易度のクリアフラグが記録されているかキッチリ確認しておくと良い。

トロフィー条件達成にあたって意識して遊ばないと取得できないのは『注意深いドライバー』ぐらい。『注意深いドライバー』はチャプター“Onslaught”で最初の戦車に乗ったままクリアするという条件ですが、最初に乗っている戦車をクリア地点まで乗り入れればいいので途中で降車したりコンティニューしてしまっても構わない。戦車がダメージを受け過ぎてしまった場合は一度わざと死んでコンティニューすることで戦車の耐久力を戻せるので活用しよう。

■概評

“革新的”と言われた映像表現は移植に伴って陳腐なものとなってしまったが、ゲームとしての面白さはしっかりしている。スクリプト進行の窮屈な一本道のFPSとは違ってアウトドアを練り歩くプレイに解放感があるのが素晴らしい。敵の様子を伺いながらじりじりとステルスプレイをするのが好きな自分からすればピッタリのタイトルでした。ただ、キャンペーンの後半部分からステルスが無意味になり窮屈な一本道のFPSと同じになってしまっているのが残念ですが…

既に2007年に発売されているゲームなので今に至ってコンソール版を発売したことには今更感が拭えないものの、それでも『Crysis』という大作をPS3/Xbox360で遊べるようになったのは非常に価値のあることです。PC版から削られた部分はあれどそれは価格の安さとコンソール向け調整版という点がカバーしていますし、トロフィー/実績といったやり込み要素も付加されているので1,900円でこれは良い買い物になるはず。PC版をプレイする機会が無かった方には超オススメです、マキシマム名作FPSをその手で遊んでみてください。そして本作を楽しんだ後は是非とも続編の『Crysis 2』へ!

[PS3]『Crysis』 – 日本版レビュー
Gumio’s Score : 7 / 10 筆者:ぐみお ※この記事は前サイトで2011年に執筆したものです。

ぐみお

「暮らしにゲームを」をモットーに死ぬまでゆるーく楽しくゲームを遊べるような人生を送りたいなぁーなんて思っている人間です。三度の飯よりもゲーム好きで生粋の関西人のあんちゃんです。

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